March 02, 2004
Alvin Lucier: Still Lives
アルヴィン・ルシエは音の唸りとか微妙な共鳴の効果など、音響の微細な変化を科学か何かの実験のようにストイックに観察するタイプの曲が多く、しばしば「音楽」として聴くのには正直つらいな、と思うものも少なくないのですが(「音楽」というより「音響観察」とでも名付ける方が適切でしょう)、このCDはそうした意味では「音楽的」な要素がやや高いかな、と思います。 特にアルバムのタイトルにもなっている「Still Lives」はそうした傾向が強いです。この作品はルシエの他の多くの作品のような長い演奏時間を必要としない、2〜4分の小品が7曲まとめられたものです。それぞれの小品には「バーベキュー・グリル」や「ハンモック」などものの名前が付けられていていますが、スイープする2つのサイン波のオシレータでこれらの物体の輪郭線を描き(ケージの「龍安寺」と同じ発想です)、ピアノがそこに点を重ねるように単音を付け加えていくのですが、ピアノが音を延ばす間にサイン派はスイープしてピッチを変化させるので唸りが生じる、というルシエお好みの音響効果も得られます。サイン派とピアノの音色の組み合わせが実に美しく、物体の輪郭線をなぞってメロディーラインにする、という機械的な作曲法からなぜか妙にリリックな効果が立ち現れるというのも興味深いです。

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