June 29, 2006
Trio Beyond: Saudades
ジャック・ディジョネット(ドラム)、ジョン・スコフィールド(ギター)、ラリー・ゴールディングス(オルガン)によるユニット「Trio Beyond」による2枚組のライヴ・アルバムです。トニー・ウィリアムスの伝説的ユニット、ライフタイムへのオマージュとして結成されたユニットですが、このライヴでもライフタイムの1st、2ndアルバムからのナンバーを中心に選曲されています。
アルバム冒頭3秒を聴いただけで、とてつもない名演である事を確信できるほどの集中力に満ちた音楽がCD2枚分にたっぷりと収録されています。
前述のライフタイムのレパートリーに加えて、トニー・ウィリアムスが在籍していた時代のマイルス・デイヴィスのバンドのレパートリーも演奏されていますが、ここからも単なるライフタイムのトリビュート・バンドではないもっと幅広い音楽を追求しようとしている事が分かるかと思います。
曲目は以下の通りでが、「分かる」人にとってはたまらない選曲でしょう。
If
As One
Allar Be Praised
Saudades
Pee Wee
Spectrum
Seven Steps To Heaven
I Fall In Love Too Easily
Love In Blues
Big Nick
Emergency
マイルス門下生であるジャック・ディジョネットとジョン・スコフィールドの名前が並んでいるだけで、ゾクゾクしてしまいますが、同じマイルス門下の先輩であるトニー・ウィリアムスのパワフルで天才的なドラミングに敬意を払って演奏するとなると、気の抜けた演奏をするはずがありません。ジョン・スコフィールドとも親しい中堅のラリー・ゴールディングスも加えて、結果的にトニー・ウィリアムスのことは忘れてしまう程、3人のクリエイティヴな音楽に飲み込まれていきます。
ジャック・ディジョネットの躍動感と力強さを兼ね備えたドラムに、ジョン・スコフィールドの屈折したフレーズが絡みつく様に病みつきになってしまいますが、その二人の巨匠級の演奏に必死で食い入ろうとするラリー・ゴールディングスもなかなかの好演をしています。
ジャズ、ロック、ファンク、ブルースなど様々なスタイルの楽曲が立ち替わり登場しますが、アップテンポの曲からバラードまでどんなテンポ、スタイルでも自由自在に料理して説得力のある演奏を繰り広げます。
全体を通して非常にパワフルな印象を受けますが、パワー一辺倒に陥らない繊細な側面も見逃してはならないでしょう。
全ての収録曲について説明する余裕はありませんが、Seven Steps To HeavenやI Fall In Love Too Easilyといった60年代のマイルス・バンドの定番レパートリーが新鮮なアレンジをほどこされたり、このバンドのオリジナル曲Saudadesでマイルスの名盤「ビッチズ・ブリュー」の「スパニッシュ・キー」の引用があったりと、マイルス・ファンならニヤリとしてしまう演出も面白いですし、Big Nickでジョン・スコフィールドがソロを繰り広げる内にオルガンのバッキングがなくなり、ジャック・ディジョネットとの壮絶なデュオになってしまうコルトレーン的展開(この曲はもともとコルトレーンの曲をライフタイムがカヴァーしたものですから、参照元の参照元まで立ち戻ったということになります)など、数限りない見せ場があります。
このアルバム、実はECMレーベルなのですが、このレーベルのイメージからは想像しにくいほどの「熱い」テンションが全編に張りつめています。現在のジャズ・シーンでここまで「熱い」演奏というのも(もちろん表面的な大音量やキャッチーなリフなどによる見せかけの熱さではありません)なかなかお目に掛かれないのではないでしょうか。
汗がスピーカーからこちらに飛び散って来そうな勢いを持った「男のジャズ」と言えるでしょう。

なるほど。このメンバーなら「漢」なジャズでしょうね。
こちらは、たった今マッコイ・タイナーの「和」のジャズ(日本企画アルバム)を聴いて、尻子玉が抜けてしまいましたので、気合い入れ直しに聴きたいですね。
スコフィールドの変態ギターとデジョネットのバトルは凄そうです。
さなやん(りろ@涅槃) : June 30, 2006 05:09 PM本当に凄まじいです。
Seven Steps To Heavenでのディジョネットのドラミングは100m走のテンションでフル・マラソンを走り切る勢いがあります。