November 22, 2006

作業報告・シェルシ「Maknongan」

低音デュオライヴでやるシェルシの「Maknongan」の楽器指定は「pour un instrument grave ou voix de basse」つまり「低音楽器またはバス独唱のために」という一種異様な指定になっています(ちなみに「低音楽器」の例としてチューバ、コントラファゴット、コントラバスなどが挙げられています)。
低音楽器と一緒にバス独唱も並んでいるのが微妙に可笑しいですが、まさに今回の「低音デュオ」に相応しい曲と言えるでしょう。

楽譜自体は一種類の完全に固定されたものだけで、そこから各楽器、声でどのように細部を解釈するのかは演奏者に委ねられています。
例えば、各楽器、声の音域に合わせてどのように移調するか、楽譜中のいくつかの音符に記された「chiaro=明るく」「cupo=暗く」という音色に対する指示をどう解釈するか、などです。

私のための今回のヴァージョンでは原譜より完全4度下げ、chiaroの部分はAの母音で、cupoはMのハミング、特に指示のないところはÖのヴォカリーズで、ということで当初練習していたのですが、いまいちしっくりきませんでした。
主に楽器を想定したような細かいフレーズを母音のヴォカリーズだけで処理しようとすると明確さに欠け、しかも歌いにくいのです。

ところで、シェルシのバス独唱のために「WO MA」という4つの小品から構成される作品があり何度か歌ったことがありますが、この内の2つはもともとトロンボーン、1つはサックスのために作曲されていて、そこに抽象的なシラブルをあてはめてバス独唱用に「編曲」したものなのです。
あたかも始めから声のために書かれたかのようにうまく仕立てられているのですが、この「歌詞」付けにその成功の秘密があるのではないかと気付きました。
シェルシの声楽曲をいくつか歌っていると、シラブルの選択に彼なりの癖があることに気が付きます。特定の子音、母音の組み合わせばかりを使っているので、同じようなものを「Maknongan」のために「いかにもシェルシ風」にでっちあげてみたらどうなるだろう、と思ったのです。試行錯誤を重ねてそれなりに満足のいく仕上がりになってきましたが、もともと極めて見やすいとはいえないSalabertの出版譜に「歌詞」を書き込んでいくと、かなりゴチャゴチャしてきましたし、いくら使われている音数が少ない(9割の音符が単一のオクターヴのg, gis, aのみ)とはいえ、意外にややこしいリズムのカウントや細かいアーティキュレーションも考えながらだと注意力が散漫になってしまいそうだったので、Finaleで移調譜を作ることに決めました。

4分音符を基本としているようで32分音符単位で微妙にずれていたり、8割位の音符に何らかの音量やアーティキュレーションの指示が細かく記譜されているので作業はやや難航しましたが、まだ完璧ではないもののそれなりに納得いくもの(少なくとも原譜よりははるかに奇麗です)が出来たので以下にその一部をご披露します。
こっそり4分音やシェルシ独自のヴィブラート記号が紛れているところにもご注目下さい。
Maknongan.gif

まっちゃん@シリウス : November 22, 2006 08:33 AM | トラックバック (0) | コンサート情報

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