November 06, 2007

Cage: Music for Piano 1-84

music_for_piano.jpgケージのピアノのための連作「Music for Piano」84曲すべてを収めた2枚組のアルバム(演奏:Sabine Liebner)です。この作品は、紙のわずかなシミや汚れを音符と見立てることによって作曲者の意図から解き放たれた音楽を作ろうとする試みによる作品ですが、全曲まばらな音が忘れた頃に孤独に鳴り響く展開や盛り上がりとは対極の音楽になっています。

この作品の最も大きな音響上の特徴は全ての音楽事象が他の音との関わりのない「単音」のみである、ということです。全曲を通じてペダルは踏みっぱなしなので、その単音の残響が時に他の音と重なり和音やメロディーのように聴こえることもありますが、あくまでもそれは偶然以上の何ものでもありません。
ピアノの単音といっても、通常の奏法に加えミュートやピッツィカートなどの内部奏法、ボディーを叩くことによる打楽器的な音響もチャンス・オペレーションによって選択されるので、多様な音域にそれらが配置されることによってストイックなりにも音響の多様さは感じられます。

音楽が続いているのをしばしば忘れてしまうほどの音のまばらさ(かなり長い無音の場面も数多くあります)が2時間ずっと続くのは、究極の退屈体験であるとも言えますが、私は不思議とこの無目的な音楽に延々と耳を傾けたくなります。

ケージのピアノ作品のCDは数多くありますが、意外にMusic for Pianoの録音は少なく、全曲録音はこれ以外にはSchleiermacherのものくらいではないでしょうか。ただこのアルバムは、演奏、録音ともに中途半端な感じで不満だったのですが、今回のアルバムを聴いてはじめてこの作品の美しさを味わうことが出来ました。

テュードアによる抜粋演奏と比べると、音量の振幅はずっと小さいものの(音量は演奏者の自由とスコアに書かれているので、どれが正しいということはありません)、それが音響の細部へと耳を傾けやすくさせているのがこの演奏のポイントでしょう。

この作品は何曲かを複数のピアノで同時演奏しても良いですし、それはそれでそれなりの面白さもあるのですが、「単音」にこだわったこの作品のコンセプトを考えると、ソロ・ヴァージョンがもっともそれを生かすのではないか、と思います。

まっちゃん@シリウス : November 6, 2007 11:14 PM | John Cage

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コメント

たまたま我が家にも、この曲の抜粋版があったので聴いてみましたが、かなり音数の多い演奏でした。(誰の演奏か不明)

と、突如気がついたのですが、我が家のITunesの作曲家リストに、モートン・フェルドマンがないのです(泣)
名曲「コプトの光」を、もう何年も聴いていない・・・

さなやん(りろ@涅槃) : November 7, 2007 02:35 PM

ケージにはまるで縁のない私.でも聞いてみたくなりました.CD見つけてきます!!
ところで、カティンカからメールきた?Tierkreisオーケストラバージョン.楽しみだねーー!!

kazuko : November 7, 2007 09:19 PM

さなやんさん>
多分何人かで同時演奏しているものでしょう。
ハンガリーのレーベルのもので(エトヴェシュ?)そうした方法の演奏がありますが、それはそれでなかなか美しいです。

kazukoさん>
そういえばケージのフルート曲ってほとんどないですが、「龍安寺」のフルート版などは一緒にできますね。

カティンカからメール来ました。アバドが委嘱したような格好になっていますが、彼が振るのでしょうか?
(BPOとの「グルッペン」は最悪でしたが。。)

まっちゃん@シリウス : November 8, 2007 09:41 AM
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