January 17, 2008
シルヴァーノ・ブソッティ〜ポートレートコンサート
本日はイタリア文化会館へ「シルヴァーノ・ブソッティ〜ポートレートコンサート」を聴きに行きました。
私も初日に演奏に参加した、ブソッティ来日企画の最後のコンサートになります。
図形楽譜による作品を中心としたプログラムでしたが、ケージやシュトックハウゼンの綿密に考え抜かれた図形楽譜による作品と比べて、著しく自由度の高い、つまり言い換えれば、どうとでも演奏できるかなり「ゆるい」縛りになっているので、演奏者の解釈によって作品の印象が大きく左右されることになります。
イタリア人のアンサンブルによる演奏では、1台のピアノの様々な部位を3人の演奏者で様々に「愛撫」されるかのような「Per Tre」をはじめとして、入念に準備された几帳面なリアリゼーションが印象に残りましたが、私がブソッティ作品に対して感じるエロティシズムの要素が足りず、「Per Tre」に関してはどちらかというと「愛撫」というよりは「身体検査」といった趣でした。
エロティシズム云々といっても、これは私の主観ですから、ブソッティにとってはこういうのも「有り」かもしれませんが、私が演奏するのならそうはしない、という好みの問題です。
今宵のメインは最後に演奏された「Autotono」という作品で、この作品の音符のほとんどない「楽譜」は、楽譜というよりは壮大かつ緻密な落書き集(というには絵として魅力的ですが)といった感じで、絵をそのまま楽譜として演奏するという困難な作業が演奏者に課せられ、演奏者次第で傑作にも駄作にもなりうるリスクをもちます。
普通はあの絵(=楽譜)を演奏する、ということを知ったら悪い冗談だと思うでしょう。
これを桐朋学園の学生達による(数名プロの演奏家も隠れキャラのように加わっていました)室内オーケストラ+声楽アンサンブルで演奏するということで、作品自体に対する疑念も相まって全く期待していなかったのですが、これがなかなか面白い仕上がりになっていました。
巨大な絵をアンサンブルのスコアの様に見立てて(絵の上部は声楽、下のほうは弦楽パートなど)、左から右へ解釈していくのですが、弦楽セクションの同期しないリズムや不安定な音程によるサワサワしたテクスチュアなど、肉感的で豊饒な響きが様々に変化する様子は、あたかもきちんと記譜された楽譜であるかのようでした。
あとで、演奏者に楽譜を見せてもらいましたが、若干の決めごとはあるものの基本的には「絵」を演奏していたことも確認できさらにビックリしました。
この高品位な演奏結果は、指揮を務めた杉山洋一氏の優れた指導の賜物ではないかと推測します。
これで終わるかと思ったら、最後にサプライズがありました。
アンコールとして、そしてブソッティが敬愛する(笑)プッチーニの生誕150年も記念して、プッチーニの子守歌「そして小鳥さんは」(ブソッティ編曲)がなんとブソッティ自身の歌唱によって演奏されました。
職業歌手でもなんでもないので、声量もないし、時々過剰なヴィブラートがかかったりと、失笑する場面も多々ありましたし微妙に恥ずかしがっている雰囲気もなくはなかったのですが、彼が豊かな歌心を持っていることと、イタリア人らしいベル・カント的な響きのポイントをしっかり持っていることには妙に感心させられました。彼の口笛が木管楽器の音色で模倣されるアレンジも洒落ていました。
あまりに観客の反応が良かったので、同じ曲をもう一度繰り返し歌ってしまいましたが、2度目の演奏となると少し度胸がついてか、歌にも自信が出てくる様子が、カラオケの隠し芸を披露するようでもあり微笑ましかったです。
演奏とは技術ではなく心が最も重要なんだな、と痛感させられもしましたが、このヘタウマな演奏、CDになったら私は絶対に買います!
演奏会の前には講演会も行われていましたが、相変わらず「迷宮入り」の展開になっていたようで聞きのがしたのが残念です。
話は変わりますが、帰宅するとシュトックハウゼン「モメンテ」の巨大なスコアが届いてました。この話はまた後日。
まっちゃん@シリウス : January 17, 2008 12:42 AM | トラックバック (0) | 現代音楽
隠れキャラ、参上。。(寒いが、開き直りが肝心かと。。)
あの『小鳥さんソング』は、
桐朋で開催されたポートレートコンサートでも
演奏されたんですよー!
その時は、めっちゃめちゃ派手なベストを着用されていて、
出て来ただけで、笑いをこらえるのが必死でした(☆)
プッチーニ好きを確信する、ポルタメント唱法、すばらしかったですね(笑)
おおたまき。 : January 17, 2008 10:04 PMお疲れ様でした。
プッチーニの三部作をブソッティが演出したスカラ座のプロダクションがあるみたいですね。
http://tag.rakuten.co.jp/tag/blog/%A5%D7%A5%C3%A5%C1%A1%BC%A5%CB/ctime_002