January 30, 2008
いろいろ到着
数日前、シュトックハウゼン出版から何やら小包が到着しました。
最近何か注文した記憶はないのに何だろうと開けてみると、昨年のシュトックハウゼン講習会で私が演奏した「シュピラール」の映像が収められたヴィデオ・テープでした。今まで出演した時にはこのような物はもらったことがなかったのですが、この演奏はシュトックハウゼンとの最後の共演になる訳で、記念になるだろうと気を効かせて送ってくれたのだと思います。
しかし、困ったことにPAL方式のVHSで送られてきたため、通常の日本のヴィデオ・デッキでは再生できず(そもそも我が家にはVHSがありません)、業者に頼んでDVD-Rに移し替えてもらいました。本当に撮ったままの状態のコピーだったので、自分でiMovieを使って最低限の編集を施し、簡単な字幕をつけ形を整えました。
シュトックハウゼンが声とラジオの音質、音量をどのようにバランスをとり整えたのか、リアルタイムでは知りえなかったので、ヴィデオで客観的に見られたのは良かったです。
di-arezzoから以前頼んでおいたブソッティの譜面もいくつか届きました。
今月上旬の演奏会に関わっていた関係で、彼の図形楽譜のあり方に興味を持ち、注文してみたのです。
楽譜というよりはほとんど画集のAutotono(1977)の大竹伸朗的なぶっ飛び具合も良いのですが(申し訳程度に音符や楽器指定があるのもツボ)、一緒に注文したPieces de Chair II(1958/60にはさらに度肝を抜かされました(先日同曲の演奏でピアノを弾いていた新垣氏の演奏の意味も納得しました)。
55ページからなるこの作品、楽器編成は「ピアノ、バリトン、女声ソロ、いくつかの楽器のための」とあるのに、いきなり楽譜の冒頭が「デヴィッド・テュードアのためのピアノ小品」の歌いながら超絶技巧のパッセージを弾くピアノのための楽譜で、通常の五線譜なのにすでに図形楽譜的なヴィジュアル(一部謎の図形的な記譜あり)、めくっていくたびに楽器編成も一見しただけではよく分からない図形楽譜と通常の(しかしかなり異形の)五線譜が延々と続き、このヴィジュアル的なインパクトはケージの「ピアノとオーケストラのためのコンサート」のピアノ独奏パートと双璧をなすと言えるでしょう。もっとも重要な違いは、細かく演奏法の指定のあるケージの図形楽譜に対して、ブソッティのそれにはそうした指定が一切ないということですが。。。(この作品の楽譜の中にブソッティの図形楽譜を解読する鍵となる実例を発見したことだけは報告しておきましょう)
この作品は、様々なアイデアによる小品が集まっているのですが、ピアノ・ソロ、バリトン+ピアノ、などの編成はともかく作品によっては多数の管楽器や打楽器も含む室内オケのような作品や、オンド・マルトノを含むものまで混在していて全曲を演奏しようとすると、練習以前の下準備にかなりの苦労が予想されます。
本日、京都で直観音楽アンサンブルという団体を作りシュトックハウゼンの直観音楽演奏の研鑽に励んでいる中路正恒さんより、「7つの日より」の「正しい持続時間」の録音が郵送されてきました。
短いテキストから即興演奏をしなくてはいけないこの作品は、安易な取り組みによっていとも簡単に駄演になりかねない危険も孕んでいますが、このCD-Rに収められていた演奏は、真摯な研鑽が伺える素晴らしい仕上がりで非常に驚きました。60年代後半の「シュトックハウゼン・バンド」による演奏の肌触りとの共通点も感じると共に、日本人らしい独特な時間感覚、音色感覚にこの団体の個性を感じました。この演奏を聴いたとしたら、シュトックハウゼン本人も喜んだに違いありません。今後もこうした活動を続け、様々な場所で演奏の機会を持つことを期待します。

松平様もdi-arezzoをお使いでしたか.気付かないうちに送料が上がっていてびっくりです(1万円前後を超えると、Secured Shippingのみ).100ユーロしない楽譜を買っても、送料込みで倍額、とかいうことに…(^^;.
M. F. : January 30, 2008 08:59 PM私たちの演奏の感想をお聞かせいただきまことに有難うございました。
>真摯な研鑽が伺える素晴らしい仕上がりで非常に驚きました。
こんな風に言っていただけて、とても光栄に存じます。
ご期待に応えられるよう、そしてシュトックハウゼンの恩恵に報いられるよう、仕事をしてゆく所存です。
どうぞよろしくお願いいたします。
中路正恒
M. F. さん>
SalabertやRicordiの楽譜はdi-arezzoで買うことが多いですね。このショップの送料の問題は深刻です。今回も当初の予定だと書留扱いの送料しか選択できなかったので、1点購入を見送って注文しました。
中路さん>
某新聞の追悼記事に見られるように、直観音楽に対しての変な偏見も多いですから、そうした状況を打破するためにも実演で応えるのが一番だと思います。