May 18, 2008
フォルメル技法講義内容の補足(再アップ)
本日のシュトックハウゼンのフォルメル技法のレクチャーにお越し頂いた方、ご来場ありがとうございました。
時間が短くなりすぎたらどうしようと思っていたのに、大幅に予定時間をオーバーするいつもの展開、要領が悪くて申し訳ございませんでした(>主催者のお二方)
肝心の「ヘリコプター」のアナリーゼ、猛スピードでの慌ただしい説明になりましたので、ご来場者向けに補足をしておきます。本日ご来場でなかった方には意味不明かもしれませんがご容赦下さい。
分かりづらかったのではと思うのが、ズーパーフォルメルを実際の楽曲の構造に反映させる部分かと思います。
(ズーパーフォルメルはシュトックハウゼンの公式サイトに画像がでています)→ここをクリック
「ヘリ」の部分にあたるフォルメルは7小節目の1拍目の部分になります。
60拍(=1分)から構成されるズーパーフォルメルの四分音符一拍分がLICHT全体の16分の構造に対応するので、960倍(=16x60)に引き延ばされる事になります。つまりフォルメルの四分音符一個は同じテンポの四分音符960個分に対応するという事です。
「ヘリ」の部分のテンポは50.5なので、この4分音符一拍分は「ヘリ」の構造に対応させると基本テンポを50.5のテンポに「移高」した形で四分音符960個分ということになります。
この部分のエーファのフォルメルは16分音符、8分音符、16分音符に分けられますから、これを単純に割り算して、テンポ50.5に「移高」した状態で四分音符240、480、240個分に分けられます。
はじめの16分音符に対応する240個の四分音符を60拍のズーパーフォルメルで埋めるためには、すべての音価を4倍にすれば丁度良い事になります(60x4=240)。そしてこの音符はDなのでエーファ・フォルメルの開始音をDに変更、つまり原形より長2度上げ、他のフォルメルも同様に移調することによって、この部分の音楽がすべて確定します。本来最低声部のルツィファー・フォルメルが最高部にくるなど音域の置換はありますが、音価4倍(ただし基本テンポは50.5に移高)、長2度上に移調されたズーパーフォルメルがそのまま演奏されるだけです。
8分音符の部分は音価を8倍(60x8=480)でエーファ・フォルメルがFから始まるように完全4度上に移高、次の16分音符の部分は音価を4倍にしてエーファ・フォルメルがGesから始まるように減5度上に移高することになります。
ミヒャエル・フォルメルのAsののばしはお手すきの楽器によって頻繁に繰り返し、ルツィファー・フォルメルの半音階上行の位置は4分音符単位でカウント(細かいテンポの変化は無視しています)し、適切な位置でチェロによって演奏され(繰り返し)ます。
つまりこの作品の主要部では様々な置換処理が行われながらもズーパーフォルメルが3度くり返して演奏されるだけの構造になっている、ということです。
とはいえ、メロディーの各音を各楽器でグリッサンドを駆使してかなり遅めなテンポで演奏されるため、ボーッと聴いているとこの構造は耳に入っていませんが、各フォルメルの音域を確認した上で、ズーパーフォルメルの楽譜をにらみ付けながらCDを聴けばそのまま追っていけるはずです。慣れれば耳で聴くだけでも聞き分けられるようになります。
実際にレクチャーしてみたら90分×4回くらいかけても良い内容だったかもしれません。
本日お越し下さった方で、講義内容に関して質問がある方がいらっしゃれば、このエントリーのコメント欄で受け付けます。
本企画と連動した「双子座三重奏団&エクスドット」ツインライヴのご予約も受け付けておりますので、こちらも是非ともお越し下さい。
まっちゃん@シリウス : May 18, 2008 11:24 PM | Stockhausen
本日は貴重なお話、ありがとうございました。
まだ自分の中で咀嚼し切れていないようなのでコメントは避けますが、来日公演時に「リヒト=ビルダー」の楽譜を御大の真後ろで見てまったく手が届かないだろうと思っていたものが、自分の頭でも少しは理解できそうな気がしてきました。
(53.5、60.5などの微細なテンポ等々)
挨拶もなしに退出してしまい、失礼いたしました。
またよろしくお願いいたします。
本当に充実した夜をありがとうございます、
おつかれさまです。
いつも時間の制約をかけてしまうことが悔やまれます。
定員オーバーで入場をお断りしてしまった皆様も申し訳ありません、
また時間にもキャパシティにも余裕のある環境で、実現したいです。
6/2、ツインライヴもよろしくお願いいたします。
あと、「STONE」は御大の技法と関連して作曲されていたりしますか?
Yumさん>
本日もご来場ありがとうございました。
キュルテンの受講生でも、シュトックハウゼンのアナリーゼを一度で理解できず録音してホテルで聞き返したりテキストを読み返したりする人も多いですから(「数学の授業みたいだ」と愚痴る人もいます。。)、今回の猛スピードの説明だと少々分かりずらかったかと反省しています。
ただ、今回のレクチャーの内容が、断片的であっても頭に入っていれば、配布した資料をじっくり吟味することによって詳細が理解できるように考えていますので、根気強く研究してみて下さい。
分からない所があればご遠慮なく質問して下さい。
brightさん>
今回はお世話になりました。ライヴの方も宜しくお願いします。
拙作のSTONEですが、今までに作曲したどの作品よりも御大の作曲技法の影響が大きくなっています。
まずピアノによる追悼の鐘を思わせる和音群を作曲しましたが、ピッチや持続、和音の構成音数などはセリエルに作曲、音域、テンポの変化も7+αの部分に分かれたそれぞれで異なるように計画しています。
それから他の楽器の出現頻度、構成音も全体的なプランを考えた上で実際の楽譜に配置していく方法で作曲しました。
問題は、実際に音に出してみて頭でイメージした通りの音響になるかどうかです。
まっちゃん@シリウス : May 19, 2008 09:41 AM