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October 18, 2006

「アイデア」大竹伸朗特集

idea319.jpg雑誌「アイデア」最新号は、我が故郷宇和島が誇る世界的な奇才アーティスト大竹伸朗の特集です。
とはいえ、宇和島の人がどれだけこの人の存在を認識しているかはよく分かりません(宇和島で個展をやったというような話は少なくとも聞きません)。東京生れなのに、わざわざ宇和島という芸術の中心地とは決していえない(「世界の中心」ではあったらしいですが。。)場所へ引越して作品を作りそれを世界に発信するというのもなかなか「パンク」なものがありますが、作品自体も非常にパンクなものです。

今回の「アイデア」での特集は彼の「切り張り」作品を集めたものですが100ページを超える充実したものでこれ自体が彼の作品である、ともいえるような壮絶な内容になっています。偏狭的なまでの切り張り作業の末に完成された作品をさらにコラージュしたような内容ですが、情報過多にして猥雑な香りの立ちこめる彼の作品についてあれこれ言う文章力は私にはありません。

puzzoo.jpgこれまた奇才のボアダムズのEYEと組んだデュオPUZZOOのCDもついでに紹介しておきましょう。
美術の分野で行っていた切り張り作業を音楽でやったような内容ですが、全く関係のない雑多な音響やリズムが無造作に重ね合わされているのにも関わらず、曼荼羅を思わせるような宇宙的な調和が取れていて、同時にポップでユル〜イ感じも併せ持っています。

まっちゃん@シリウス : 09:37 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

October 11, 2006

マイルスを聴け! Version 7

mileskike.jpg私がまだまだマイルス・デイヴィス初心者だったころこの本の「初期ヴァージョン」を参考にアルバムをコツコツと集めていたものですが、強烈な表紙に魅かれて久々にこの本を手に取ってみると内容のあまりの変貌ぶりにびっくりしました。
私がお世話になっていたのは多分Ver.2かVer.3だと思いますが、その頃と違い今や辞典級の分厚さへと成長しています。

収録アルバム数473枚というヴォリュームがものすごいですが、そのうち公式盤は100枚程度、残りはすべてブート盤という異常な比率もこの新ヴァージョンの価値を高めています。

よく知られているようにプロデューサーのテオ・マセロが巧みに膨大なスタジオ、ライヴ音源を編集し一つのアルバム・パッケージへまとめていて、それはそれ自体で1つの芸術品なのですが、マイルスの真骨頂はライヴにあるといえます。
特に60年代半ば以降、全ての曲をはっきり完結させずメドレー形式で繋いでいくようになってからは、一回のライヴ全体が一つの大きな作品のように扱われている訳で、それを無編集の状態で丸ごと聴くというのは大きな意味があります。
ライヴにこそ彼の音楽の本質があるとも言えます。

特に70年代は演奏される曲のテーマがメロディーというよりはモチーフ的断片までに制約されていて、それがロックやファンクを下敷きにした曼荼羅状のリズムの上で抽象的に展開されるので、公式盤での大幅に編集された状態だと、なぜそこでそういうフレーズになるのかという音楽の連関が分かりにくくなっているのです。

当時のLPフォーマットの制約もあり、そうした長大なライヴを全部収めるのは無理だったのですが、現在に至っても本来のライヴのスタイルで聴けるのはほんの少し、マイルスの半世紀にわたる多彩な活動を考えるとお寒い限りです。

そこでブート盤の登場となる訳ですが、種類が本当に多く音質、演奏内容も玉石混交、どれから聴いていいのやら全く分かりませんが、そこでこの「マイルスを聴け!」が出番となる訳です。
それぞれの盤の曲目、演奏メンバーはもちろん、音質や演奏内容に関しても分かりやすく記述されているので、どれから聴けばいいか当たりをつけるのに非常に便利ですし、すでに持っているものに関しても、中山氏はこういう風に考えているんだ、などと自分の感覚との共通点、相違点を比べるのも楽しいです。

最近のブート盤を聴いて思うのですが、公式盤なみの高音質なものも多くパッケージも洗練されてきて以前のいかがわしい雰囲気が少なくなってきています。
中山氏も本書のなかで書いているように、ブート盤のクオリティがどんどん上がっているのに対して、オフィシャル盤として出される各種ボックスセットの内容があまりにも貧弱、というのはうなずけます。
未発表ライヴをまとめてボックス化したようなものは嬉しいのですが、バラ売りで手に入るアルバムの音源に申し訳程度に別テイクや未発表トラックを足しただけのボックス・セットも多いのです。

まっちゃん@シリウス : 08:37 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

October 02, 2006

IMAGINE YOKO

imagine_yoko.jpgこの本はオノ・ヨーコの様々な作品の写真や短文を収めたもので装丁も奇麗でそれ自身楽しめるものですが、むしろポイントはおまけのDVDです。

オノ・ヨーコの映像作品の収められたこのDVDの内容は以下の通りです。

Film No. 4 (Bottoms)
Film No. 13 Fly

どちらも7分間の抜粋ですが非常に面白い映像で、このために本体の本を買っても良いくらいです。

Film No. 4 (Bottoms)は多くの人のお尻のアップ映像ばかりをひたすら繋ぎ足したものですが、どアップにすることによってよく分からない物体がゆらゆら動くユーモラスな作品になっています。

特にオススメなのがFilm No. 13 Flyです。
女性の裸体の表面を動き回る蝿をやはりどアップで撮影したものですが、蝿が画面に大きく映し出されるほどのアップなので女性の体はもはや皮膚や体毛ではなく、砂漠や森のように見えます。そしてサウンド・トラックはオノ・ヨーコのヴォイス・パフォーマンスですが、彼女の声があたかも蝿の鳴き声のように聞こえる効果があまりにも絶品です。
これは是非とも全編見てみたいものです。

私はこの商品を表参道のナディッフで購入しましたが、以下の出版元から直接購入することも可能です。
BAKHALL

まっちゃん@シリウス : 07:37 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

September 04, 2006

太田光・中沢新一「憲法九条を世界遺産に」

9jou.jpgタイトルだけみると、ありがちな護憲の主張をテーマにした本のようですが、爆笑問題の太田光と中沢新一という興味い組み合わせの二人による対談集ということで読んでみました。

左VS右、改憲VS護憲などといった安易な二項対立へと話を単純化してしまうことなく、二人の独特な視点からの考察がなされています。
複雑な問題を単純なキャッチフレーズだけを繰り返すことによって本質をはぐらかすような某総理大臣のような発言や、ちょっとしたきっかけで手のひらを返したかのように態度を180度ひっくり返す各種メディアの偏向的な報道にうんざりしていた昨今、このような思考回路を持っている人もまだいるのだな、とある種の良心のようなものを感じました。

「アメリカの押し付け」と言われる事も多い日本国憲法を、「突然変異の珍品」「当時のアメリカ人の中にまだ生きていた、人間の思想のとてもよいところと、敗戦後の日本人の後悔や反省の中から生まれてきたよいところが、うまく合体している」などと表現しているのも面白いですが、そうした考察を経た「その奇跡の憲法を、自分の国の憲法は自分で作りましょうという程度の理由で、変えたくない」という主張はもっともだと思いました。

単にこの第九条を手放しで称賛するだけではなく、「平和学の最大のパラノイア」「修道院」などと皮肉をこめて表現したり、「外国が日本に攻めてきたらどうするか」といった問題に対して「状況によっては、殺される覚悟も必要だ」というような厳しい結論に達する事もいとわず、この憲法のはらむ様々な矛盾点も認めた上での「憲法九条を世界遺産に」という主張には、お気楽な理想主義に陥らない説得力を感じました。

とはいえ二人の気持ちの中に大きな迷いが存在している事も事実で、そうした部分も敢えて隠さないところに二人の正直さと良心が滲み出ています。

まっちゃん@シリウス : 09:23 AM | コメント (9) | トラックバック (0)