--- Jazz ---

August 23, 2007

富樫雅彦氏逝去

日本を代表するジャズ・パーカッショニスト富樫雅彦氏がシュトックハウゼンの79歳の誕生日に亡くなったそうです。

ソース:http://www.bounce.com/news/daily.php/11356/headlineclick

追悼として、ドン・チェリー、スティーヴ・レイシー、デイヴ・ホランドとの共演ライヴの「Bura-Bura」、ドン・チェリー、チャーリー・ヘイデンとの「Session in Paris, Vol.1」を聴きました。彼の美しく躍動する音色は世界的に見ても唯一無二だと思いますが、この「美しさ」の深みを文章で上手く表現できないのが悔やまれます。

敢えて書くとすれば、パーカッション奏者が音色を直接コントロールできるのはアタックの部分だけですが、富樫氏の音色は奏者のコントロールを離れた音が伸びている部分に特徴があります。この「残響」の温かい美しさが、共演するミュージシャンに大きなインスピレーションを与えるのではないでしょうか。

そうそう、スティーヴ・レイシーとのデュオのライヴの素晴らしい録音があるので後で聴いてみましょう。

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September 03, 2006

デューイ・レッドマン逝去

公的なニュースはまだ発表されていないようですが、信頼出来る筋からの情報なのでお知らせします。

優等生的な息子に比べて地味な印象がありますが、オーネット・コールマン、キース・ジャレット、パット・メセニー、ポール・モチアンなどと共演したアルバムで見せる輝きは他の人には真似の出来ないものでした。

ご冥福をお祈りします。

[追記]
訃報を伝える記事を見つけましたのでlinkを張っておきます。
http://home.nestor.minsk.by/jazz/news/2006/09/0501.html

まっちゃん@シリウス : 06:05 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

June 29, 2006

Trio Beyond: Saudades

saudades.jpgジャック・ディジョネット(ドラム)、ジョン・スコフィールド(ギター)、ラリー・ゴールディングス(オルガン)によるユニット「Trio Beyond」による2枚組のライヴ・アルバムです。トニー・ウィリアムスの伝説的ユニット、ライフタイムへのオマージュとして結成されたユニットですが、このライヴでもライフタイムの1st、2ndアルバムからのナンバーを中心に選曲されています。
アルバム冒頭3秒を聴いただけで、とてつもない名演である事を確信できるほどの集中力に満ちた音楽がCD2枚分にたっぷりと収録されています。

前述のライフタイムのレパートリーに加えて、トニー・ウィリアムスが在籍していた時代のマイルス・デイヴィスのバンドのレパートリーも演奏されていますが、ここからも単なるライフタイムのトリビュート・バンドではないもっと幅広い音楽を追求しようとしている事が分かるかと思います。
曲目は以下の通りでが、「分かる」人にとってはたまらない選曲でしょう。

If
As One
Allar Be Praised
Saudades
Pee Wee
Spectrum
Seven Steps To Heaven
I Fall In Love Too Easily
Love In Blues
Big Nick
Emergency

マイルス門下生であるジャック・ディジョネットとジョン・スコフィールドの名前が並んでいるだけで、ゾクゾクしてしまいますが、同じマイルス門下の先輩であるトニー・ウィリアムスのパワフルで天才的なドラミングに敬意を払って演奏するとなると、気の抜けた演奏をするはずがありません。ジョン・スコフィールドとも親しい中堅のラリー・ゴールディングスも加えて、結果的にトニー・ウィリアムスのことは忘れてしまう程、3人のクリエイティヴな音楽に飲み込まれていきます。

ジャック・ディジョネットの躍動感と力強さを兼ね備えたドラムに、ジョン・スコフィールドの屈折したフレーズが絡みつく様に病みつきになってしまいますが、その二人の巨匠級の演奏に必死で食い入ろうとするラリー・ゴールディングスもなかなかの好演をしています。
ジャズ、ロック、ファンク、ブルースなど様々なスタイルの楽曲が立ち替わり登場しますが、アップテンポの曲からバラードまでどんなテンポ、スタイルでも自由自在に料理して説得力のある演奏を繰り広げます。
全体を通して非常にパワフルな印象を受けますが、パワー一辺倒に陥らない繊細な側面も見逃してはならないでしょう。

全ての収録曲について説明する余裕はありませんが、Seven Steps To HeavenやI Fall In Love Too Easilyといった60年代のマイルス・バンドの定番レパートリーが新鮮なアレンジをほどこされたり、このバンドのオリジナル曲Saudadesでマイルスの名盤「ビッチズ・ブリュー」の「スパニッシュ・キー」の引用があったりと、マイルス・ファンならニヤリとしてしまう演出も面白いですし、Big Nickでジョン・スコフィールドがソロを繰り広げる内にオルガンのバッキングがなくなり、ジャック・ディジョネットとの壮絶なデュオになってしまうコルトレーン的展開(この曲はもともとコルトレーンの曲をライフタイムがカヴァーしたものですから、参照元の参照元まで立ち戻ったということになります)など、数限りない見せ場があります。

このアルバム、実はECMレーベルなのですが、このレーベルのイメージからは想像しにくいほどの「熱い」テンションが全編に張りつめています。現在のジャズ・シーンでここまで「熱い」演奏というのも(もちろん表面的な大音量やキャッチーなリフなどによる見せかけの熱さではありません)なかなかお目に掛かれないのではないでしょうか。
汗がスピーカーからこちらに飛び散って来そうな勢いを持った「男のジャズ」と言えるでしょう。

まっちゃん@シリウス : 10:48 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

June 27, 2006

近藤等則:風狂

fukyo.jpgサムライに扮した近藤等則がトランペットと刀を持っているジャケが冗談か本気か分かりませんが、このジャケの通りのサムライ・ジャズといった趣の内容になっています。
全編エレクトロニック・トランペットの無伴奏ソロ演奏のみで構成されていますが、虚無の空間に切り込んでいくような緊張感に満ちたフレーズの間の取り方は「和」の世界です。その音楽は、宛ら竹薮の中で孤独に尺八を吹いているかのようで、ノイズ的な奏法も多用していますが、これも多分に尺八的といえます。
ディレイを駆使する事によって、オーヴァーダブなしにポリフォニックな楽想も可能にしていますが、絶妙なバランス感覚で「間」が埋もれないように、うまく計算されています。

ジャズ(=即興演奏)と武士道の意外な近親性を強く感じさせる名作と言えると思いますが、そうした近親性を考えると、フリー・ジャズやジャンルを超えた即興演奏のシーンで何人かの日本人アーティストが海外からも高い評価を受けているのも納得できます。

まっちゃん@シリウス : 11:34 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

June 22, 2006

Paul Motian on Broadway vol. 4

broadway4.jpgポール・モチアンの"On Broadway"シリーズの第4作です。
第3作まではビル・フリーゼル(ギター)、ジョー・ロヴァーノ(サックス)、チャーリー・ヘイデン(ベース)による編成で浮遊感溢れる演奏を繰り広げていましたが、最新作の今作では一変して、クリス・ポッター(サックス)、ラリー・グレナディア(ベース)によるトリオを核とした編成になっています。アーティストのクレジットが「Paul Motian Trio 2000+One」となっていますが、このトリオに、曲によってレベッカ・マーティン(ヴォーカル)、菊地雅章(ピアノ)が交替で加わっての2種のカルテットによる演奏が交替する構成になっています。

スタンダードの名曲を高水準で独創的な演奏で聴かせるコンセプトは同じですが、編成が変わった分アルバムのカラーはこれまでのシリーズからガラッと変わりました。ピアノレスのトリオをバックにレベッカ・マーティンが歌う組み合わせは一見奇妙に感じられるものの、50〜60年代のモダン・ジャズを感じさせる正統的且つ創造的な演奏が秀逸です。クリス・ポッターの演奏も風格に満ちた充実したものですし、レベッカ・マーティンのクールな味わいのヴォーカルも心地よいです。(ポール・モチアンのリーダー作でヴォーカル入りなのは、私の記憶が正しければ今回が初だと思います)


一方、菊地雅章が加わったカルテットの演奏では、スタンダード・ナンバーのメロディーが抽象的に解体され、耽美的に歪んだハーモニーの中を漂う、レベッカ・マーティンの加わったトラックとは全く異なる雰囲気を醸し出しています。
菊地のピアノの枯れた音色と独特の「間」が相変わらず素晴らしいですが(そして例のうなり声もかなり入っています)、クリス・ポッターがこちらではフリー・ジャズ以降の現在進行形のスタイルで演奏しています。

ポール・モチアンの精密なモノクロ写真を思わせるドラムが素晴らしいのはもちろんですが、ラリー・グレナディアの重厚なベースがこのアルバムの価値を高める事に貢献しています。チャーリー・ヘイデンとは全く違った重厚さが、このブロードウェイ・シリーズに新たな彩りを添えています。

収録曲の作品の一部を以下に紹介しておきます。

The Last Dance
Tea For Two
Never Let Me Go
Everything Happens To Me
I Loves You Porgy
etc.

ちなみに「Trio 2000」というユニットのクレジットは「Trio 2000+One」というアルバムで既に使用されています。
ポール・モチアン(ドラム)、クリス・ポッター(サックス)、スティーヴ・スワロウ(ベース)というエレクトリック・ビバップ・バンドのメンバーによるトリオに、曲によってゲストの菊地雅章(ピアノ)、ラリー・グレナディア(ベース)のどちらかが加わる、今作と類似した編成でした(今回のアルバムで、スティーヴ・スワロウに代わってラリー・グレナディアが正メンバーに「昇格」したことになります)。
菊地とはゲイリー・ピーコックを加えたトリオ「テザード・ムーン」でも共演が長いですが、複数のプロジェクトが入り組む様は、ポール・モチアンの織物のような緻密で複雑なドラミングと相似形を成しているようです。

まっちゃん@シリウス : 09:27 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

June 12, 2006

Evan Parker with Birds

evanParkerBirds.jpgタイトルの通りエヴァン・パーカーが鳥と共演したアルバムです。「鳥」といっても鳥の鳴き声を中心としたフィールド録音で曲によっては様々なエフェクトがかけられています。録音されたものとは言え、鳥の鳴き声と「交信」するかのようなエヴァン・パーカーのサクソフォンの響きは神秘的です。メシアンの鳥へのこだわりを考えるまでもなく、鳥の鳴き声、存在そのものには神々しさすら感じられます。

このアルバムは最近亡くなったフリー・ジャズ界の仙人スティーヴ・レイシーに捧げられていますが、ここでのエヴァン・パーカーの演奏はスティーヴ・レイシーのプレイを思わせるような断片的なメロディーを中心に構成されていて、得意技の循環呼吸によるピロピロしたフレーズは抑制されています。そして、エヴァン・パーカーが鳥の鳴き声を介して天上のスティーヴ・レイシーとセッションしているようにも感じられる、緊張感に満ちたフリー・ジャズの世界とは全く反対の安らぎに満ちた音楽へと仕上がっています。

ほとんど加工されていない鳥の鳴き声の録音と共演したトラックでは、鳥の声とソプラノ・サックスの響きが一瞬区別が着かなくなりそうなほどに溶け合う瞬間も少なくないですが、チャーリー・パーカーが「バード」という愛称で呼ばれたように、サックスの音色と鳥の鳴き声にはそもそも近親性があるのではないでしょうか?
そう考えると、スティーヴ・レイシーもエリック・ドルフィーもオーネット・コールマンも鳥っぽい感じがします。
逆に、コルトレーンは決して鳥っぽくは聞こえませんが。。

ちなみにジャケットの画像からはわかりにくいですが、動物が立体的に飛び出たりと、凝ったアートワークになっています。

Evan Parker - Soprano & Tenor Saxophones
John Coxon & Ashley Wales - Soundscapes

まっちゃん@シリウス : 06:45 PM | コメント (3) | トラックバック (0)

May 15, 2006

ICTUS Records' 30th Anniversary Collection

ictus00.jpg
ICTUSレーベルの12枚の良質なフリー・ジャズのアルバムをまとめたボックスセットです。
豪華な装丁で驚きましたが、内容もそれに見合った豪華な内容です。
アンドレア・チェンタッツォのパーカッションを中心に、スティーヴ・レイシー、デレク・ベイリーなど様々なフリー・ジャズの名手との1970年代からごく最近までの共演作が収められていますが、マスタリングが素晴らしく70年代の録音も非常に鮮明に聴く事が出来ます。

詳しい内容はICTUSレーベルのHPをご覧下さい。
http://ictusrecords.com/30/explore.html

まっちゃん@シリウス : 11:08 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

December 26, 2005

デレク・ベイリー氏逝去

フリー・ジャズの世界では神様ともいえるデレク・ベイリー氏が亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。
ネタ元は以下のサイトです。

大友良英のJAMJAM日記-はてな版- -

まっちゃん@シリウス : 09:37 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

September 09, 2004

Bill Frisell:Unspeakable

coverここ何年もほんわかしたカントリー風の作品をひたすら発表してきたビル・フリーゼルの新譜は大きく方向性が変わっています。サンプラーやターンテーブルを使いダンス・ミュージック的な側面を全面に出した非常に都会的で洗練された音楽になってます。そうすると、いわゆるノリノリの音楽かというとそうではなくて、グルーヴ感があってもBGM的な感触があるし、ファッションショーとかものすごくお洒落なお店でかかってそうなライトな雰囲気も持っています。でも
安っぽい雰囲気にはならず、非常に緻密に作り込まれたアンサンブルとミックスが印象に残ります。すごく軽く叩いている感じのカスっというスネアの音色、曲によって加わるブラスやストリングスのアンサンブル、その上で軽やかに舞うビル・フリーゼルのギターなどの素材が自在に組み合わせを変えて表れては消える感じで、聞けば聞くほどじわじわと素晴らしさが滲み出てくる名盤だと思います。

まっちゃん@シリウス : 09:40 AM | コメント (0) | トラックバック (1)

September 07, 2004

Tony Williams: Believe It

believeit.jpgトニー・ウィリアムズの70年代のこの名作がリマスタリングして発売されました。アラン・ホールズワースなんかも参加していてロックでポップな内容ですが、私はトニー・ウィリアムズのリーダー作の中でこのアルバムが一番好きだったりします。オノ・ヨーコのアルバムでのプレイなんかもそうなんですが、彼の叩くロックなリズムはものすごくグルーヴ感があって腰の辺りがむずむずしてくるのです。もちろん随所でジャズ的な遺伝子を感じさせるオカズも連発です。エレキ・ギターやエレピが往年のフュージョン・サウンドを奏でそれはそれで非常に高度なプレイなのですが、それらすべてが、トニー・ウィリアムズのドラムの引き立て役にしか聞こえないというのは彼のプレイの凄まじさを物語っています。
正直言って、彼のドラマーとしての超一級の素質に対して彼のリーダー作の出来栄えは今一つ何か足りない、と思わせるものが多いのですが、このアルバムは名作だと思います。

まっちゃん@シリウス : 08:45 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

May 19, 2004

エルヴィン・ジョーンズ死去

ジャズの好きな人なら知らない人はいない、ジャズ・ドラムの巨匠エルヴィン・ジョーンズが亡くなったそうです。慎んでご冥福をお祈り致します。

>>ソース

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March 09, 2004

Norah Jones: Feels Like Home

coverわざわざ当サイトで紹介するする必要もないほど「売れている」アルバムですが、内容的にもとても素晴らしいです。ノラのハスキーな声がまずいいですし、カントリー風にまとめられたアレンジと、リバーブを押さえたすっきりしたミックスもとても気持ち良いです。iPodで聴くのにもとても良い感じです。但し、国内盤を買ってはいけません。あの劣悪なCCCDだからです。おまけに値段も高いのです。輸入盤も当初同じようにCCCDのEU盤が店頭に並んでいましたが、最近はタワレコでもHMVでも非CCCDのUS盤が大量に入荷していますのでそちらを買いましょう。渋谷のタワレコなどはケッサクでEU盤とUS盤が同じコーナーで同じ値段で売っています。東芝EMIへの配慮かUS盤には「US盤」と書いたシールが張っているだけで、「CCCDではありません」などという記述はまったくありませんけど、CCCDがどういうものか知っていて、同じ値段で売っていたら絶対US盤買いますよね。

そういえば林檎姫のサード・アルバムはCCCDで結局泣く泣く買ったものの、それまでのアルバムほどに愛着が持てなくなってしまい、結局そのあとに出た「りんごのうた」 (CCCD)も買わずじまいです。DVDは即効で買いましたけどね。

とにかくあのマークを見るだけで憂鬱な気分になるので何とかして欲しいです。

まっちゃん@シリウス : 10:13 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

December 14, 2003

Charlie Parker : The Complete Verve Master Takes

coverチャーリー・パーカーがヴァーヴ・レーベルに残した録音のマスター・テイクのみを集めた3枚組のボックスセットです。チャーリー・パーカーの今まで発売されていた多くのCDでは別テイクがマスター・テイクのあとにすぐ続いて収録されていたりして、同じ曲を何度も聴く事になってしまうという苦しい構成になっていました(さもなければ収録時間が極端に短くなってしまうという事情もありますけど)が、このようにマスター・テイクばかりを集めて多くのアルバムに分かれていた音源をまとめて聴ける、というのは非常に嬉しい企画です。
すべて1950年前後の録音ですがリマスタリングの素晴らしさもあって、チャーリー・パーカーのプレイはもちろん、ベースやドラムの細かい音までクリアーに聞こえるのも特筆すべきでしょう。
やや取り扱いにくいものの豪華な装丁もいいです。

ヴァーヴ・レーベルに遺した録音は小編成のコンボ、ビッグバンド、ストリングス、コーラスとの共演、ラテン・ジャズ風の演奏などと、様々なフォーマットが試みられていますが、これらの録音が適度にミックスされていることによって、通して聴くと適度に変化があり、この辺の演出も心憎いです。

個人的にはストリングスとの共演が気に入っています。
彼のバラードの演奏は本当に素晴らしいです。

「バード」と呼ばれた彼の素晴らしい演奏については多くの人が語り尽くしているので私がとやかく言う必要はありませんが、あのマイルス・デイヴィスが晩年まで尊敬し自伝にもさまざまなエピソードを綴っている(表面的な演奏スタイルではない)彼の音楽の精神はこれからも受け継いで行かなくてはなりません。

まっちゃん@シリウス : 10:47 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

November 29, 2003

Joe Henderson: Double Rainbow

coverジョー・ヘンダーソンによるジョビン追悼アルバムです。前半はブラジルのミュージシャン、後半はハービー・ハンコック、クリスチャン・マックブライド、ジャック・ディジョネットというジャズ界のスーパー・スター達によるユニットとの共演、という構図になっています。つまり、前半はジョビンのオリジナルに近いスタイル、後半は洗練されたジャズのスタイルでの演奏ということですが、ジョー・ヘンダーソンによる素晴らしいテナー・サックスの音色がうまく全体の雰囲気を統一しています。
音量を抑え、ヴィブラートを極力排した彼のメロディーの歌わせ方が実にクールで、このアルバムも「秋のボサノヴァ」と言っていいようなメランコリックなムードを醸し出しています。
前半の正統的なブラジル風のスタイルによる演奏ももちろん素晴らしいのですが、後半のジャズのスタイルへ解体された演奏もとても興味深いです。特にハービー・ハンコックの演奏がバッキング、ソロともに絶品で、タメの効いたフレージング、ビル・エヴァンスを思わせる耽美的なハーモニー、圧倒的なテクニックなど、彼の最良な部分が多いに発揮されています。
No More Bluesのピアノ・ソロのイントロなど実に美しいです。

超メジャーな作品ではないですが、個人的に大好きなLigiaが収録されているのも嬉しいです。

まっちゃん@シリウス : 10:17 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

November 28, 2003

Gery Allen: Twenty One

coverちょっとセクシーなジャケで、ピアノ・トリオ作品となると、ビル・エヴァンスの亜流みたいな軟弱な音楽を想像するかも知れませんが、一曲目からドカスカ、ドカスカとパワフルな演奏が炸裂します。なんといっても、リズム隊はロン・カーターとトニー・ウィリアムズでプロデュースはテオ・マセロです。そして当のジェリ・アレンも、長らくキーボードを排除していたオーネット・コールマンが始めて本格的に起用したピアニストだったり、学生時代にはエリック・ドルフィーについての論文を執筆したり、ウォレス・ルーニーとは公私共にわたるパートナーだったりという経歴から予想できる通り、そうとう個性の強い音楽性を持っています。彼女のアルバムにしてはスタンダード・ナンバーが多いですが、そうした曲も見事に彼女の音楽として生まれ変わってます。Tea For Twoでのトニー・ウィリアムズのイントロからいきなりロック魂炸裂したりいて「どんなお茶やねん」と関西弁で突っ込みを入れたくなったりします。演奏自体が相当パワフルなのですが、それを独特な録音がさらに強調しています。とにかく低音がでかいです。ベースやバスドラの音が非常識なまでに大きなバランスでミックスされているのです。これは以前持っていたアンプではうまく再生できず、低音が歪みまくってました。録音自体もちょっと粗さを感じさせるものなのですが、それがかえってパワフルさを強調させる結果となっています。

まっちゃん@シリウス : 09:40 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

November 27, 2003

Dusko Goykovich: SAMBA DO MAR

coverボサ・ノヴァというと暑い夏を乗りきるための納涼音楽としてのイメージが非常に強いですが、このアルバムは「秋のボサノヴァ」とでも名付けたくなるような、クールなトーンがアルバム全体を支配しています。トランペット(or フリューゲルホルン)、アコースティック・ギター、ウッド・ベース、ドラムというキーボードを欠いた編成がすっきりとした響きを生み出しています。ダスコ・ゴイコヴィッチのトランペットの物憂げな音色とChega de saudadeやInsensatezなどのボサ・ノヴァの名曲の美しいメロディーの相性が抜群にいいですし、そこに絶妙なアコギのコードがかぶさることによって、ブラジル風だけれども非常にオリジナルなボサノヴァの世界を作り出すことに成功しています。

ミュート・トランペットの音色を聞くとどうしてもマイルスの亜流のように聞こえがちなのですが、彼の音色はマイルスとは全く違った個性を持っていて、この辺も非常に聞き所になっています。

まっちゃん@シリウス : 10:00 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

October 29, 2003

Pharaoah Sanders: Journy to the One

coverファラオ・サンダースのスピリチュアルな側面が全開の名作にして大作です。ファラオというと後期コルトレーンのバンドでの壮絶な演奏が思い浮かびますが、あの激しい咆哮も神の領域へと近づいていこうとする試みだったに違いありません。
ここではそうしたフリーキーな要素はほとんどありませんが、あの壮絶な演奏を体験したあとだからこそ得られる本物のスピリチュアルな音楽がここにあります。
曲もいいし、メロディーの歌わせ方も絶品の一言ですが、なんといってもフラジオレットの美しさがすばらしいです。

1人でも多くの人に聞いて欲しい名盤だと思います。

まっちゃん@シリウス : 11:59 PM | コメント (1) | トラックバック (0)

October 19, 2003

Anna Maria Jopek: Upojenie

http://www.annamariajopek.pl/pages/dyskografia/albumy/upojenie.html

このポーランド人歌手の名前を全く知りませんでしたが、このアルバムでパット・メセニーが全面参加しているということで聴いてみました。
ブックレットが最初から最後までポーランド語でよく詳細は分かりませんが、この人の声は神秘的な美しさを持っていて、それがパットのギターの音色と溶け合い得も言われぬ美しさを持った響きを作り出しています。

パット・メセニーのアルバムからのカバーも沢山あって、あらたにポーランド語の歌詞が付けられていますが、パット自身も演奏、アレンジに関わっていますから仕上がりも悪い訳がありません。

まっちゃん@シリウス : 10:53 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

October 14, 2003

Richard Bona: Munia / The Tale

coverパット・メセニー・グループのメンバーでもあるリチャード・ボナの新譜は、切ないほど美しいアルバムです。冒頭の多重録音によるア・カペラのコーラスがいきなり素晴らしいですが、続く作品もアフリカのリズムとジャズ/フュージョン的なリズムが絶妙に混ざり合った珠玉のトラックばかりです。
彼の声の美しさはパット・メセニーのアルバムでも非常に重要な位置を占めていますが、このアルバムではその声を全編にわたって堪能する事が出来ます。彼と同じアフリカのミュージシャン、サリフ・ケイタもいくつかのトラックでゲストとして参加していますが、二人の声のキャラクターの対比も面白いです。
アコギのカッティングとか絶妙なリズム隊などの演奏やミックスもそれぞれ素晴らしいです。
でも、このアルバムを貫く最も重要な要素はスピリチュアルであるということです。

一曲ケニー・ギャレットが参加したトラックがあって出来は決して悪くないのですが、このトラックだけ妙にジャズっぽくて全体のアルバムの流れから遊離しているように聞こえてしまうのが少し残念です。

まっちゃん@シリウス : 11:29 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

September 18, 2003

FELLINI JAZZ

フェデリコ・フェリーニの映画で使われたニノ・ロータの名曲などをジャズでカバーしたアルバムですが、演奏しているメンバーの素晴らしさによって単なる「企画もの」以上のものに仕上がっています。
Ennico Pieranunziが全曲のアレンジを担当し、オリジナルも2曲提供していますが、彼とともに演奏しているのがKenny Wheeler, Chris Potter, Charlie Haden, Paul Motianという実力派ぞろいの最強メンバーです。

個人的にはチャーリー・ヘイデンとポール・モチアンがリズム隊を務めているものにはハズレはないと思っていますが、今回もまさに大当たりです。
ベテラン勢に混じってクリス・ポッターという若手のホープが名を連ねているのも興味深いですが、実に堂々としたプレイを繰り広げています。

まわりの凄腕メンバーに触発されてかエンニコ・ピエラヌンツィもいつになく冗舌で粘りのあるプレイを繰り広げています。

ニノ・ロータの曲はなにげに調性から逸脱していきそうな「アブナイ」メロディーを持っていますが、そのせいか、しばしば複調的な和声進行が出てきたり、フリー・ジャズ風に展開していったりと、スリルと多彩さに満ちたアレンジが施されていますが、それはやはりこのようなものすごいメンバーが集まったからこそ可能なのでしょう。

個人的には、このスーパー・グループでもっとアルバムを録音したり、来日してライヴしてくれたらなぁ、などと思います。

まっちゃん@シリウス : 08:37 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

September 13, 2003

Albert Ayler: The Hilversum Session

アイラーがドン・チェリー、ゲイリー・ピーコック、サニー・マレイと組んだカルテットによる録音。

アイラーの曲はどれも黒人霊歌を思わせるシンプルなものばかりですが、それがアドリブに入ると突然抽象的で無調的なものに変わっていくのは、彼の音楽の典型的なスタイルです。一応、テーマ〜各メンバーのアドリブ〜テーマの再現、というジャズのオーソドックスなスタイルからはそれほど離れていませんが、この4人の名手のインプロヴィゼーションが生み出すきらめくような音楽を聴いていると、こうした構成が逆転して、混沌とした響きの中から、シンプルなメロディーが表れ、そしてもともとの複雑な響きの中に消えていくようにすら感じられます。

ドン・チェリーの自由奔放で輝きに満ちた演奏はこのアルバムに大きな花を添えていますが、しっかりとバンドの音楽を支え、変化に満ちたリズムとハーモニーの土台を生み出している若き日のゲイリー・ピーコックの貢献も忘れるわけにはいきません。

まっちゃん@シリウス : 10:42 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

August 28, 2003

Michael Brecker: Wide Angles

マイケル・ブレッカーのこの新しいアルバムはギル・ゴールドスタインのアレンジによるラージ・アンサンブルとの共演によるものです。このアンサンブルはトランペット、トロンボーン、ホルン、フルート、クラリネット、オーボエ、ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ、ギター、ベース、ドラム、パーカッションという編成でクラシカルなオーケストラやビッグバンドのどちらとも違う独特な色合いを持っています。ヴァイオリン以外の全ての楽器は1人ずつなのでひとりひとりのサウンドが主張していて、その集積が生み出す音色の混ざり具合がとても面白いです。

この素晴らしいアンサンブルに触発されてか、マイケル・ブレッカーのプレイも冴え渡っています。
この人のテクニックはほんとうに見事なので、どんな速いフレーズを吹いてもなんでもないように聞こえてしまい、それが逆にハートのないメカニカルなものに感じられることもある、という欠点を持っているのですが(といっても相当高いレベルでの小さな不満です)、ここではいつになく熱いテンションを感じる事ができ、それがいつもながらの超絶技巧と結びつく事で凄まじい世界を作り出しているのです。

ほとんどが彼のオリジナル曲ですが、込み入ったリズムやハーモニーの仕掛けが効果的ですし、ファンクっぽいナンバーがあったりと変化にも富んでいて、何度も聴きたくなります。

まっちゃん@シリウス : 09:48 PM | コメント (0) | トラックバック (2)

July 07, 2003

上原ひろみ

先日も触れた上原ひろみのライヴレポートを発見しました。こちらです。
特に下の方の写真を見て欲しいのですが、爆発した髪の毛といい、完全にあちらの世界の顔の表情といい、ただものではありません。

まっちゃん@シリウス : 07:08 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

July 04, 2003

Hiromi: another mind

ぷらっちっくさんに紹介してもらった上原ひろみのデビューアルバムです。
ビル・エヴァンスを模したような乙女チックなピアノ・トリオでも聞かせるのかな、とやや先入観を持っていましたが、1曲目を聴いてその先入観とのあまりのギャップにぶっとんでしまいました。
バークレー首席で卒業とか、チック・コリアと17歳の時に共演とかいった華々しい経歴もありますが、そういったことがどうでもよくなるくらい、音楽にパワーが満ちあふれています。

1曲目のプログレ風の高速変拍子や、2曲目のマイルスのYou're under arrestを思い起こさせるようなファンキーなリズムなど、狭い意味でのジャズに捕らわれない多彩な音楽性が魅力ですが、そうした音楽性を十分に生かしきれるバカテクぶりも単純に快感です。
ライル・メイズを思い起こさせるような叙情的な面も時折見せますが、この人の音楽の基本は「攻め」です。ここぞというときには持っているテクニックを総動員してとにかく弾きまくります。
特に左手の機動力と、そこから生み出されるエキセントリックなグルーヴと高揚感にはあまりの凄まじさに笑っちゃうしかありませんが、単なる名人芸に留まらず必然性をもって響いてくるのはさすがです。
一音一音の粒立ちをはっきりさせ少しためた感じのフレージングも貫録たっぷりですし、ブルースへの深い尊敬の念が感じられます。

まっちゃん@シリウス : 10:44 PM | コメント (0) | トラックバック (1)

July 02, 2003

Pat Metheny: One Quiet Night

全編ギターソロのみによるアルバムです。
しかもオーバーダブなしで全編たった1つのギターのみを使用した非常にストイックな構成です。
そして使用したギターはバリトン・ギターという耳慣れない名前の楽器です。

バリトンといっても普通のギターと一見変わらない響きです。
しかし、低弦の音域が普通のギターよりかなり低いので、この弦をベース代わりに使用する事で非常に豊かで厚みのあるハーモニーを得る事が出来ます。
このアルバムではバリトン・ギターのこのような特性をフルに生かしたものとなっていて、パットの超絶技巧のソロを楽しむというよりは、アレンジの妙、このギターの響きの美しさをじっくり味わうような趣向になっています。

このギターの低弦の響きは本当に深くて、まるでベース奏者がもう一人いるかのように聞こえますが、例えばチャーリー・ヘイデンとデュオをしているのでは、という錯覚すら受けます。
曲によってはコードをひたすら掻き鳴らしているだけのものもあるのですが、このギターの響きの美しさと和声進行の素晴らしさでそうした単純さが全く弱点になっていないのは素晴らしいと思います。

このアルバムの中での一番のお気に入りのトラックはキース・ジャレットの名曲「My Song」です。
原曲がすばらしいのはキース自身の演奏を知っている人ならよく知っていると思いますが、あたかもギターで演奏するように作曲されたかのようなパットの見事なアレンジと演奏には脱帽です。

まっちゃん@シリウス : 12:01 AM | コメント (0) | トラックバック (0)

June 17, 2003

ポール・モチアン

 ポール・モチアンというと、殆どの人が、スコット・ラファロ在籍時のビル・エヴァンス・トリオのドラマーという経歴がまず頭に浮かぶであろう。あるいはキース・ジャレットのアメリカン・クァルテットや菊地雅章のデザード・ムーンのドラマーとしての活躍を思い出す人もいるかもしれない。
 いずれにしても、ピアニストのサイドマンとしての印象の強いポール・モチアンであるが、かなりの数発表されている彼自身のリーダー・アルバムはもっと注目されても良いであろう。
 様々な編成でのアルバムを発表しているが、彼の殆どのアルバムにピアニストが登場してこない事は非常に興味深い。ピアニストのサイドマンとしての印象とは別の側面を見せたいという意図があるものと思われるが、このピアニストの不在を補って余りあるのが個性的なギタリストの存在である。
 彼の近年の活動で大きな成果を上げているものとして、ジョー・ロヴァーノ(テナー・サックス)、ビル・フリーゼル(ギター)とのトリオや、ジ・エレクトリック・ビバップ・バンド(以下E.B.B.B.)の2つのユニットが挙げられるが、どちらもギタリストが重要な位置を占めている。トリオの方の活動はE.B.B.B.の結成の10年程前の1980年代前半から始まっているのだが、ここでのビル・フリーゼルの浮遊感に満ち溢れた音色と独特な和声感は(ベーシストがいないことも相まって、この浮遊感がさらに強調されている)ポール・モチアン自身にも大きなイマジネーションを与えたとみえ、引き続くプロジェクトのE.B.B.B.で起用された歴代のギタリストには多かれ少なかれビル・フリーゼルの影響が感じられる。
 
 さて、ここでは、現在もコンスタントにアルバムを発表し続けているジ・エレクトリック・ビバップ・バンド(E.B.B.B.)のことについて書いていきたい。
 E.B.B.B.はその名の通りエレクトリック楽器でビバップを演奏するというコンセプトで始まったプロジェクトであるが、このバンドの基本的な編成はテナー・サックス×2、エレクトリック・ギター×2、エレクトリック・ベース、ドラムというものである。ビバップというとチャーリー・パーカー(アルト・サックス)、ディジー・ガレスピー(トランペット)、バド・パウエル(ピアノ)といった代表的な演奏家がいる訳であるが、ポール・モチアンは彼らの使っている楽器を敢えて使用せず、アルト+トランペットという定番の2菅の代わりにテナーを2本使い、ピアノの代わりにエレクトリック・ギターを2本使う、という様に典型的なビバップのサウンドを避けるような音色を使っている。こうした所に、ビバップという古典的な形式に敬意を払いつつ過去の単なる焼き直し以上のものを作り出そうとするポール・モチアンのなかなか憎い演出が感じられる。
 E.B.B.B.は現在(2002年)に至るまでに6枚のアルバムを発表しているが、メンバーや作風はアルバムごとにどんどん変化していて、最新作のHoliday for Stringsに至っては収録曲のほとんどがモチアンの自作でビバップ臭はほとんど感じられなくなっている。これはこれでなかなか楽しめる1枚ではあるのだが、ここでは本来のこのユニットのコンセプトが徹底し、個性的なメンバーのプレイやアンサンブルも楽しめるアルバムを紹介したい。
 
 それは2〜4枚目のアルバムに当たる以下の3枚である。
 
 Reincarnation of a Love Bird(1994年)
 Flight of the Blue Jay(1997年)
 Monk and Powell(1999年)
 
 メンバーのオリジナル以外の収録曲を参考までに以下に記しておこう。

 

Reincarnation of a Love Bird


  Half-Nelson(M. Davis)
  Ask Me Now(T. Monk)
  Reincarnation of a Love Bird(C. Mingus)
  Skippy(T. Monk)
  2 Bass Hit(D. Gillespie/J. Lewis)
  Ornithology(C. Parker/Harris)
  'Round Midnight(T. Monk/C. Williams/B. Hanighen)
  Be-Bop(D. Gillespie)
  (他にメンバーのオリジナル2曲)

 

Flight of the Blue Jay


  Pannonica(T. Monk)
  Celia(B. Powel)
  Blue Room(Rodgers and Hart)
  Milestones(M. Davis)
  Light Blue(T. Monk)
  Conception(G. Shearing)
  Barbados(C. Parker)
  Work(T. Monk)
  (他にメンバーのオリジナル3曲)

 

Monk and Powell


  We See(T. Monk)
  I'll Keep Loving You(B. Powel)
  Brillant Corners(T. Monk)
  Rootie Tootie(T. Monk)
  Blue Pearl(B. Powel)
  Boo Boo's Birthday(T. Monk)
  Wail(B. Powel)
  San Francisco Holiday(T. Monk)
  Parisian Thoroughfare(B. Powel)
  
 このようにモンク、パーカー、マイルスなどビバップの時代を生きた偉大なプレイヤーたちの作品がメジャーなものからマニアック(ちなみに上記のマイルスのMilestonesは同名のタイトルのアルバムに収められたよく知られたものではない方のビバップ期の作品)なものまでずらりと並んでいるが、個性的なメンバーの好演によりこれらの古典的な曲が新鮮さと斬新さをもって見事に蘇っている。
 ここでこの3枚のアルバムで演奏しているメンバーを紹介したい。
 
 Paul Motian, drums
 Don Alias, percussion(Reincarnation of a Love Birdのみ)
 Steve Swallow, bass
 Kurt Rosenwinkel, guitar
 Wolfgang Muthspiel, guitar(Reincarnation of a Love Birdのみ)
 Brad Schoeppach, guitar(Flight of the Blue Jayのみ)
 Steve Cardenas, guitar(Monk and Powellのみ)
 Chris Potter, tenor sax
 Chris Cheek, tenor sax

 この3作すべてに参加しているメンバーの内、特に、クリス・ポッターとカート・ローゼンウィンケルの二人の(少なくともこのバンドの在籍時は)若手奏者の際立ったプレイがこれらのアルバムの完成度をさらに高める結果となっているが、ベテランのスティーヴ・スワロウの存在はこのバンドのアンサンブルの特異性を際立たせることに大きく寄与している。彼の弾くベース・ライン自体は比較的オーソドックスなものなのだが、オクターヴ上の倍音を異様に強調した彼特有の音色によってこのベース・ラインがギターの音域に重なるように感じられ、ベース・ラインが3人目のギタリストによるカウンター・ラインのように聴こえてくる不思議な効果を生んでいる。そして、ベースというよりは発振音的な減衰の少ない音色が独特のグルーヴを生んでいる事も非常に興味深い。
 個人的にはビバップの面白さは各ソロイストの名人芸的なアドリブよりはむしろ、そのアドリブがそれぞれのメンバーに受け渡されることによる生まれるフレーズや音色のカラーリングにあると思うのだが、このE.B.B.B.ではまさにそれが巧みに表現されている。ソロを回す順序、多彩なバッキング(ベースとドラムのみ、ギター1本、ギター2本、ベースのみなど)、曲によっては2〜4人の奏者が同時にソロをとるなど、曲ごとにこうしたアレンジの手法に変化を付けているので、限定された楽器の音色から非常に豊かな色彩の変化が生まれている。テーマのアンサンブルもあるときはユニゾン、あるときはハーモニーなどと変化を付けているのはもちろん、単にユニゾンで演奏するときもオクターヴで重ねる場合にギターとサックスのどちらが上の音域で演奏するかも曲によって異なっているし、2本ずつのギターとサックスも同種の楽器である時はユニゾン、ある時はオクターヴと実に細かいアレンジの検討が行われている。特にMonk and Powellでのモンク作品の Brilliant CornersやRootie Tootieは原曲のテーマ自体も非常に凝っているのだが、このユニットの豊かな創造性がこのような作品の演奏で最大限に発揮されている。

 ここまでリーダーであるポール・モチアン自身のドラミングについて一切触れてなかったのだが、当然のことながら彼のドラミングは非常に素晴らしい。トニー・ウィリアムズやエルヴィン・ジョーンズのようなパワフルで派手なプレイは見せないが、もたっとした感覚ながら軽やかなスネアの音色、網の目のように複雑で精緻なシンバル・ワーク、これらの「部品」全体が組合わさって生み出される織物のようなサウンドは「歌心」に満ちている。そして、彼のドラムの奏でる「歌声」にはビル・エヴァンス、キース・ジャレット、チャーリー・ヘイデンらとの共演の思い出がこだましている

まっちゃん@シリウス : 11:31 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

Bill Evans: You Must Believe In Spring

久々に引っ張り出して聴いてみました。
Bill Evansの最晩年のライヴアルバムは異様な狂気とテンションに満ちたものでしたが、その少し前のこのアルバムにはそうしたものは表面には現れていません。しかし、狂気へ至る一歩前の張りつめた緊張感がこのアルバムを支配しています。
タイトルにもなっているミシェル・ルグランの作品の演奏もすばらしいですが、ビルのオリジナルであるWe Will Meet Againはあまりにも曲が切なすぎます。

タイトル自体も自分自身の死を予感しているかのようですしね。

まっちゃん@シリウス : 12:25 AM | コメント (0) | トラックバック (1)